初めて部下ができて、部下と信頼関係をつくりたい。
でも、具体的に何をしたらいいのか分からないという人に向けて、私の体験談をもとにこの記事を書きます。
「どんな指示をしたらいいのか」「どんな接し方をすればいいのか」「何を管理すればいいのか」このように、何かをしなければいけないと思う人は多いのではないでしょうか。
確かに上司であるあなたは、部下に対しても会社に対しても“何か”をしなければいけません。部下を成長させることや部門の成果を出すこと、そして総合的に会社の業績を上げることにつながる活動が求められているはずです。
手前味噌にはなりますが、私が初めて部下をもった部門を去る時には「なんで移動することになったのですか?」「まだいて欲しいです」とほぼ全員の部下から本気で言ってもらえるまでになりました。
そしてそれは、決して私が甘いからとか、優しいという部下にとって”居心地のいい”上司だったからという訳ではありません。
さらに嬉しいことに、私の上司に移動することを撤回してほしいと直談判する部下までいました。
ここまでの関係が構築できたのは、今から書くことが大きく影響していると感じています。
この記事が、何か一つでも初めて部下をもつ方の参考になって欲しいと思います。
部下は上司を選べない事を知っておく
私が社会人になって初めて部下をもったのは、会社に入社してちょうど10年目の時です。
最初は、部下に対して何をすればいいのか全く分からなかったし、私自身も初めて配属された部門ということもあり、自分がやる業務も覚えなければいけない状態でした。
でも、私はとにかく部下を動かさないといけない。部下に指示を出さないといけない。そしてこの部門の結果を出さないといけない。こればかりが頭の中にありました。
でも、部下も私を上司として選んではいないのです。
頭で分かっていても、現場の忙しさや上からのプレッシャーによって
「部下なんだから上司に従うべき」という考えが固着していました。
自分の思い通りに部下を操ろうとしていたこの考えは、後々大きな間違いだったと気づかされることになります。
部下は上司を選べませんし、それに加えて上司は部下を思い通りにしてはいけないのです。
初めて部下をもった私がやった4つの信頼関係構築術
私が勤務していた会社は教習所で、最初に部下をもったのは教習所の受付部門へ配置転換になったタイミングです。
当時の受付部門には、20人ほどの女性社員と主任が2人、そして課長(男性)がいました。
私は、課長と主任の間の立ち位置である係長という立場で在籍することになります。
では、ここからは実際に私が部下にやっていたことを解説していきます。
▶︎ 部下をよく観察すること
まず課長に言われたのは「ももちさん、まずは一緒に働く仲間をよく見ることだよ」という一言でした。
初めはこの言葉の意味がよく分かりませんでしたが、まずは言われた通りに部下がどんな仕事をしているのかを注意深く見ることにしました。
ただ、私も上司といえど日常業務が出来るようにならないといけません。お客様が来たときの対応や教習所に入校して卒業していくまでの一連の流れの理解や、必要な知識やノウハウなど。これだけでもかなりの量になります。
最初はあまり部下を見ている余裕がありませんでしたが、それでも自分が業務を覚えながら見ていくと、少しづつではありますが気づくことがありました。
- 言われたことや、毎日のルーティンだけをやっている人
- お客様のことを考え真摯に対応をしている人
- 評価されることだけをやる人
- 仲間と協力しあって周りをよく見ている人
- 会議でいつも傍観者になっている人
ひとり一人の特性や人柄なども見えてきました。
どんな人なのか、何を考えているのか、その人の特性みたいなものがある程度見えてくると「どのような接し方、言葉の伝え方」がなんとなく見えた気がしました。
この自分の感覚をもとに、実際に部下と接することで感じる感覚とのズレを修正していきます。
まずは人をよく見ること。これはあれから10数年経った今でも人と仕事をする上でとても大事なことです。
▶︎ 部下の意見はよく聞くこと
前向きで向上心がある部下だけでなく、意欲が低く惰性で働いている部下であっても、意見はしっかりと聞くようにしました。
例え否定的と思える意見であっても、部下が考えていることや提言してくれることは全部聞きました。時には聞いているだけで腹が立つこともあります。
意見は否定しないようにまず受け入れることにしました。必ず何かしらのヒントになることが隠れていたりします。
受け入れてから、正しいのか間違っているのかを判断します。
何をもとに正しいか間違っているのかを判断するのか。
例えば会社の方針や部門方針に沿っていないこと、会社のルールに逸脱していることであれば、組織の一員である以上は正しい方向性を示して軌道修正を一緒にしていきます。
この例の場合だと、会社の方向性と照らし合わせて正しいかどうかを判断することが必要で、自分の感情や価値観だけで判断をしないことです。
▶︎ 問題が生じた時は上司が必ずサポートする
部下が教習中のお客様からクレームを受けた時の話です。
質問に来たお客様が、部下の対応に気分を害してしまいクレームとなりました。担当していた部下には、自分だけで出来るところまで対応してもらいました。
なぜなら、クレーム内容にもよりますが、初めから上司が対応をしてしまうと、部下がクレーム対応やクレームにならずとも気難しいお客様対応に苦手意識がついてしまうと思ったからです。
ただし、対応の仕方や解決策の提示やアフターフォローなど含めて、クレーム内容の共有と私なりの解決策、最悪の場合の対策については準備をしておきます。
必要に応じてアドバイスや相談に乗るなどはしっかりやります。
上司である以上、部下の責任は最終的には自分が取るという気持ちは忘れないようにしました。
これこそ、部下を必ず守るという行動なのです。
▶︎ 必ず部下に成果を出させること
部下に成果を出させることは、上司の役割としてはとても大事なことです。
どんなに言いことを言っても、どんなにいい人であっても、成果を上げられない上司は部下にとってはマイナスなのです。
正直な話、会社で働く以上は評価されなければ、自分の仕事が認められていることにもなりませんし給料も上がりません。会社で働くことで得られる豊さみたいなものは感じられなくなります。
上司の“おかげ”で成果を出せたり、仕事が楽しいと感じたり、職場環境がいいと思ってもらえたりすることで、必ず部下は「自分たちの為に上司は頑張ってくれている」と思いはじめていきます。
そして上司の存在が大きいと思うようになっていきます。
私がいた教習所の受付部門で主に評価の対象となるものは、説明を聞きにきたお客様を申込みに結びつけた件数や、申込みの時に選んだ教習プランの売上目標、お客様からスタッフへのアンケート評価などがあります。
この数字をいかにあげることが出来るか。
受付業務が好きな部下が集まっているとはいえ、得意なタイプのお客様もいれば苦手なタイプのお客様もいます。接客はあまり良いとは言えないけど、事務作業が飛び抜けて出来る部下もいます。
私が一番こだわったことは、部下の長所を見出し伸ばす。そして短所は目立たなくする。
短所だけに目を向け矯正すると、下手すると長所すら伸びなくなります。
最後に|部下との信頼関係構築に欠かせないこと
部下と信頼をつくっていければ、間違いなく成果を出す組織の土台はできるはずです。
目指すゴールに向かって、誰がいつまでに何をするのかが決まり、お互い助け合いながら進んでいく組織は、本当に強い組織ではないでしょうか。
冒頭に書いたように、私が初めてもった部下は全員女性。年齢は20〜30代前半で人数は20数名でした。
こんな自分を必要としてくれた事には今でも感謝をしています。
その後、別の部門で部下を100名近くもった時にも、この受付部門での経験がとても役に立ちました。
そして何より、あれから10数年たった今でも、まだ残っている当時の受付部門の部下とはいい形で仕事もできています。持つべきものは本当にいい部下だと感じます。
信頼関係ができるのは、そう簡単ではありません。
日々の積み重ねや、相手と本気で向き合わなければ難しいものです。
ぜひ今回の記事で参考になるものを、全力で部下を向き合って実践してみてください。
尚、以前に初めて部下をもった上司の方へ向けて、どのような指導をしたらいいかを要約したブログも書きました。こちらの記事もあわせて読んでいただくと、具体的な指導について参考になると思います。